リーダーシップのある人材が確保できないことだ。企業が生き残るか否かはリーダー次第である。問屋・卸の最大の弱点は依然として同族経営である。世襲制、年功序列的な要素が色濃く残り、番頭上がりの人がトップに座するという世界だ。ともかく経営の若返りが必要なのだ。老経営者が服装だけカラフルにしたところで中身まで変身することはむずかしいだろう。普通、問屋の世界での跡継ぎは、大学を出ると商社などに入り商売を覚える。情報の集中する商社で新しい感覚を磨き、年齢的な頃合いをみて本拠にもどるというのが一般的なパターン。しかし、いまやそんな時代ではない。この変化の激しい時代に対応できるのは若い人材であり、大手アパレルは軒並みトップの若返りを図り、新しい風を吹き入れている。
素早く作るから、定価で売る消化率は高い。これが同社が他社と比べて好収益をあげている要因である。週末の百貨店売場には東スタのお立ち台が始まることで知られているが、とくに営業マンは自分の担当している売場に立つ。赤字経営のレナウンとは対照的だ。その東スタを卒いているのが高野義雄である。周知のように高野は創業者一族とは関係がない。山梨の高校を卒業し、創業四年の東スタに入社。営業マソとしてスーパーのイトーヨーカ堂などを担当し、毎日イトーヨーカ堂発祥の地である北千住店との間を行きしていた。三五歳という若さで取締役に就任。故住本保吉の下で帝王学を学ぶ。一九七九年に社長就任、以来、垂範を信条にリーダーとして君臨している。
英語を理解し、服を理解しない人が翻訳を試み、それをもとに文章に著す。知らないことやモノを直訳すれば、どこかで屈折装置が働くことは十分考えられる。その歪みが時を経て大きくなる。明治以来の服飾用語を探っていけば、そんな例はたくさんある。それが辞書の堂々巡りになるのだ。西洋人と正確な言語をやりとりするため、私は始終通訳に頼る。通訳が言葉に詰まり考え込むと、私はしばしば困惑する。通訳が飲み込んでしまった言葉、これから口に出そうとする言葉のどちらが正しいのか、皆目検討がつきかねるからだ。西洋人の発した言葉は、通訳の経験値による便宜上の言葉の可能性もあるのだ。その通訳の経験値がどれはどのものかも分かりかねる。西洋のモノを、それぞれの役割が理解できないまま、最大公約数的な意味合いで定義すると、しばしばシャツや下着のような現象をひき起こす。